今日は、スタバでふと思った「原価」の考え方を書いていきます。
皆さん、経営をする上で、真っ先に考えなくてはいけないのが「原価」でしょう。
売価を決めるうえで、「原価」がいくらなのかがわらかないと、価格設定も、想定利益も
算出できません。
「売上高」ー「原価」=売上総利益…いわゆる粗利
となるわけですから、自分が一人で事業をやるうえでも、従業員を雇用して事業をやるうえでも一番大切なものに違いはありません。
さて、何故私がスタバでふと原価について考えるに至ったかをお話しします。
今FXで大きな含み損を抱えている私は、節約のためにフラペチーノやケーキを我慢して、ドリップコーヒーのグランデ1つだけ注文して、コンセントが利用できる机に座りました。
コーヒーの価格は税込435円です。
知り合いの仕事が終わるまで約5時間ほど滞在しました。
その間に私は、PCとスマホの充電をし続けました。
つまり、私がこのスタバで享受したサービスは、
①コーヒーを作る店員さんの人件費
②レジを打つ店員さんの人件費
③コーヒーそのもの
④カップやストロー
⑤光熱費(電気・水道)
大きく分けるとこの5つです。
もっと細かく見ていくと、テーブルを拭く店員さんの人件費やコーヒーの輸送に係る経費、機械の減価償却費などなど、際限なく出てきますが、今は上の5つで十分でしょう。
では1つずつ分解していきましょう。
あ、一応先にお話しておきますが、私はこのスタバの店舗さんのヘビーユーザーで、
普段はフラペチーノ飲んだりケーキ食べたりサンドイッチ食べたりキチンと利用させていただいてますので、迷惑な客だと罵らないでください…笑
そもそも原価というのは、直接原価と間接原価に分解できます。
「間接原価(間接費)」は、その商品やサービスにどれだけ費用(量)がかかっているかが不明なものです。
「直接原価(直接費)」は、その商品やサービスにどれだけ費用(量)がかかっているのかがわかるものです。
それぞれ、材料費・労務費・経費に分けて考えるのが一般的です。
では、コーヒー屋さんを舞台に考えてみましょう。
何度も言いますが、細かく見ていくと際限ないので、ざっくりと考えていきます。
私が今回享受した商品とサービスを間接原価と直接原価に分解すると…
「間接原価」…光熱費(照明・空調・水道等)、労務費(レジの店員さん)
「直接原価」…光熱費(充電)、材料費(コーヒー、氷、カップ、ストロー)、
労務費(コーヒーを作る店員さん)
といったところでしょうか。では一つずつ計算してみましょう。
因みに、間接原価は、先ほどもお話しした通り、私一人に対していくらの経費がかかっているか不明なため、あくまで理論値でいきます。
前提のおさらいです。私は税込435円のコーヒー1杯を購入し、5時間店舗に滞在。
その間、PCとスマホの充電をし続けております。
ここで、意外と一般の方は知らないお話です。
最近「インボイス制度」でも話題になっている「消費税」
実は、この消費税はお店のお金にはなりません。
お客様から受け取った「預かり消費税」から、会社が仕入れ等で支払った「消費税」を
差し引きし、残った「預かり消費税」は全額税務署に納付することとなります。
つまり、消費税は会社の利益には一切ならない(例外あり)ため、価格から差し引き
します。
税込み435円→税抜き396円が会社の売上となります。
「間接原価」
【光熱費】
①照明・・・60Wの電球で1時間当たり2円程度。2円×5時間=10円…①
②空調・・・クーラー1時間当たり4円~100円程度と差があります。私一人のために使っている
わけでもなければ、設定温度やエアコンの新旧(性能)によっても電気代は変わ
るので、最低の4円で算出します。4円×5時間=20円…②
③水道・・・トイレや、物を洗ったり、清掃をしたりでなんだかんだ水を使います。
全部合わせて10L程度使用したと仮定して2円…③
光熱費合計は①+②+③=32円 となります。
【労務費】
商品を注文し、レジにて精算が完了するまで、店員さんは私に約2分拘束されるとしましょう。時給1,000円と考えると、1分当たり16.7円の給料が発生します。
2分×16.7円≒33円
以上から、間接原価合計32円+33円=65円となります。
「直接原価」
【光熱費】
私の使用しているSurface pro7の充電に使う電気量は65W=0.065kWhです。
5時間充電し続けたので0.065kWh×5h=0.325kWの電気を使用。
1kWhの電気代が25円程度とすると0.325kW×25円=8円
同様に、スマホの充電に使う電気量は11W=0.011kWhです。
0.011kWh×5時間=0.055kWの電気を使用したので、
0.055kW×25円≒1円
つまり、8円+1年=電気代9円のサービスを受けたことになります。
【材料費】
①コーヒーの原価はおおむね1~2割程度と言われています。
売上396円の1~2割ということで39円~79円程度と考えられます。
スタバはコーヒー2杯目半額というレシートを貰うことができるので、
コーヒーの原価はおそらく1.5割程度ではないかと私が勝手に想像しましたので、
原価59円…①とします。
②氷の原価は1㎏当たり100円(小売りも自家製造もあまり変わらない)として、
アイスコーヒー1杯に50g分の氷が入っていると仮定し、100円÷20で=5円…②
③カップ・ストローは、100均などで少量を調達するのと、大量発注で卸売り業者
から調達するのでは金額は全然違うでしょうから、ここでは合わせて1円…③
①+②+③=65円の材料費がかかっていると考えます。
【労務費】
レジ打ちと同様、アイスコーヒー1杯を作るのにかかる人件費です。
アイスコーヒーを注文してから出てくるまでに、こちらもまた2分程度と考え、
間接労務費と同様に2分×16.7円≒33円
以上より、直接原価合計9円+65円+33円=107円となります。
間接原価と直接原価の合計は65円+107円=172円となり、
単純計算で売り上げ396円-原価172円=224円が粗利となります。
いかがでしょうか?
よく、スタバでコーヒーを飲むというと、周りから贅沢だね、あんなん原価50円ぐらいのぼったくりじゃん、と言われます。
しかし、きちんと分解して考えることで原価50円では提供されていないことが、よくわかると思います。
自分がカフェを経営することを考えると、とても100円や200円でコーヒーは提供できないことがわかったと思います。勿論テイクアウトや、滞在時間の長短、充電サービスやトイレを利用するしないで大きく変わってきますが、思ったよりもシビアだと思いませんか?
フラペチーノなんかは出てくるのに3~4分かかりますし、使用する材料も機械も全然違うため、もっと原価上がります、その分価格も上がります。
お店で買うと高いから、とお店に行ってコーヒーを買って、家でドリップして、家の電気を使って、自分でお皿を洗って飲む…コーヒーを買いに行くのに車を使えばガソリン代がかかります。購入して帰ってくるまでの時間と自分で淹れて、お皿を洗うことを考えるとそれなりの時間がかかります。その分時給2,000円の仕事をした方が儲けるかもしれません。
これが原価の考え方です。
この考え方を持って、会社の経営にあたらないと必ず失敗をします。
特に、代表者一人で個人事業主をやっていた人が、経営拡大のために会社を設立して、
人を雇用しはじめた途端に失敗するパターンが多く、特に人件費の採算管理が甘いことが
よくわかります。
ここまで細かい計算は必要ないかもしれませんが、せめて自分の会社で行う事業の粗利(売上総利益)ぐらいは把握してから経営をすることをお勧めします。
Comments